ここでは、危険な水溶性PFASから国民を守るため、なるべく具体的で効果的な政策の案を提案させていただきます。ぜひ政治家・行政の皆様にご覧いただき、国民の健康を守れる様に日本を動かしていただけると嬉しく思います。
1.PFOS型泡消火剤の回収
民間の駐車場等にPFOS(C8スルホン酸)の在庫がまだ残されていると聞きます(2024年11月時点、環境省によると約11.46t在庫有)。火災発生や装置誤作動が起こってPFOSが放出されてしまう前に、各地のPFOSの回収を急いだ方が良いと考えます。回収にあたっては、費用負担などの課題もあると予想しますので、政治と行政の力で回収を加速いただきたいです。
2.カルボン酸類、スルホン酸類全般の水道水規制の適正化
2026年4月を目指して水道法の省令改正の動きがあり、水道水中のPFOSとPFOAの2つの物質の合計値を50ng/Lとする水質基準が設定されうる状況です。しかし、合計値50ng/Lでは基準値として甘く、不十分である可能性を感じています。京都大・小泉昭夫名誉教授の講演(2025年3月9日開催)によれば、下記論文を根拠に、PFOS単独で0.25ng/Lの規制値を提案されています。食品安全委員会においては、透明性が高い議論を行っていただき、適正な基準値を設定いただく様にお願いしたいです。
https://ehp.niehs.nih.gov/doi/10.1289/EHP13617
3.長鎖カルボン酸類、長鎖スルホン酸類の製造・輸入・使用の禁止
生体蓄積性が大きいことが懸念され、既に短鎖の代替物に置き換え可能となった長鎖C7~C14カルボン酸類、長鎖C5~C14スルホン酸類については、製造・輸入・使用を原則禁止にした方が良いと考えます。現状、製造・輸入・使用が原則禁止されているのは、C8カルボン酸(PFOA)、C8スルホン酸(PFOS)、C6スルホン酸(PFHxS)のみですが、各地の水や住民の血液からC7カルボン酸やC9カルボン酸等が検出されてしまっている現状があります。そのため、これら長鎖化合物は原則禁止とすることで、短鎖の代替物への置き換えを後押ししていただきたいです。
4.短鎖カルボン酸類、短鎖スルホン酸類の水規制
短鎖カルボン酸類(C4~C6体、GenX)、短鎖スルホン酸(C4体)については、長鎖の類似物質よりは生体蓄積性が小さく、現代社会を支えるためには製造・輸入・使用自体は止むをえないと考えます。一方で、慢性毒性が明確になっているC8カルボン酸(PFOA)と類似の化学構造を有する物質であることから、工場からの排水や水道水中の濃度については厳しい基準で規制し、国民の健康を守っていただきたいと考えます。
5.代替物開発の加速
上記の様に、危険性はあるものの、現代社会を成立させるために引き続き使用せざるを得ない化学物質があります。これらについては、STARTやNEDO等の公募テーマに設定いただく等によって、代替物開発を加速していただけると幸いです。(筆者が把握している限りでは)下記についてより安全な代替物が開発されると、社会の安全性が高まると期待します。
・泡消火剤
・手術着等の特殊繊維のための撥剤
・フッ素樹脂・ゴムを製造するための助剤としての短鎖カルボン酸類
・半導体製造のための短鎖スルホン酸類
6.カルボン酸類、スルホン酸類の変換技術の開発
カルボン酸類、スルホン酸の分解技術で実用的なものが生まれてくることにも期待します。また、分解にとどまらず有用物質への変換できる技術にも期待したいです。これらについてもSTARTやNEDO等の公募テーマに設定いただく等によって、開発を加速していただけると幸いです。
7.高濃度汚染地域の地下水の揚水・浄化
高濃度のC8カルボン酸(PFOA)やC8スルホン酸(PFOS)で汚染されている地域があります。例え汚染源の確定には至らないとしても、実際に汚染が存在することは事実です。その汚染された地域において、地下水の揚水・浄化を行えば、高濃度で存在している汚染物質を取り除くことができ、近隣の住民・畑・水生生物等への取り込みを抑えることができると期待します。
8.高濃度汚染地域における大規模疫学調査の実施
繰り返しになりますが、高濃度でC8カルボン酸、スルホン酸で汚染されている地域があります。その汚染された地域においては、大規模な疫学調査を行うことで、これら物質が日本人に対して与える慢性毒性を評価することができないかと期待します。また、血液中から高濃度のカルボン酸類、スルホン酸類類が検出された住民に対しては、健康フォロー(発生リスクの高い疾患に対する定期的検査の補助等)を行っていただきたく考えます。また、汚染源が明確になっている地域では、高濃度でこれら物質が検出された住民に対する補償も進める様に、行政指導等を行っていただきたく思います。
以上です。良いご提案が追加できるようになったら随時更新していきます。ご検討の程どうぞよろしくお願いいたします。